本当に使えるデザインスキルを手に入れよう。

写真を撮って絵作りを学ぼう!

簡単に絵作りを学べる上達法はないですか?

デッサン以外の方法で「絵作り」の基本を学ぶには?

前回、前々回と「デッサン」についての記事を書かせて頂きました。かなりの方に読んでいただいたようで、どうも有難うございます。数名の方からご質問頂いたのですがご紹介しますと、

「デッサン=絵作りの基本」でデッサンでネガティブスペース等意識したりする事が、絵作りの勉強でもありデザインの勉強、と言うこともわかったけど、今から時間ないしデッサン教室通えないのですが、何か他の方法でデザイン力の基本となる「絵作り」の力がつくような上達法はないものでしょうか?

こういった質問ですが、ハイ、記事のタイトル通りです(笑)

「写真を撮って絵作りのスキルを上げましょう」これなら、スケッチブックと鉛筆(HB〜8Bまで)買って来たりイーゼル手に入れる必要もないです。簡単ですね。

でも、勿論ですが「何故この練習法で絵作りについて(完全にデッサンの代わりになる訳でないけど)かなりの効果が見込めるのか?等々、あなた自身が理解していないと何のプラスにもならない事は、全てにおいて忘れてはならない事なので、写真撮影する時に気を付けることなども含めて、こちらでご説明します。

写真を撮る際に意識して頂きたい二つのポイント

A. つかみ(主役)は何か?

写真には、お笑いでいう「つかみ」のような、絵として見ている人に訴えかけるようなポイント…「主役」が必要だ!と言う事を強く意識しましょう。

勿論、写真って奥深いモノで、主役なしの写真で良いモノも沢山あります。でもそこら辺は、レベル高過ぎていきなり狙おうとすると、まず「ただつまらない写真が撮れるだけ」でしょう。なので、とりあえずきちんとつかみは何か?何をメインに、何を見せようとしての写真なのか?必ず意識して写真を撮るように心がけましょう。

自分が残す写真に、絵としてアピールできるようなポイントはあるのか。いつも意識しながら写真を撮ってましょう。
※デザイン初心の時にかなりの確率で「主役がないデザイン(つまり主役弱すぎてのメリハリなしのデザイン)に陥るパターンが多いから尚更に主役を意識する事をお勧めしたいです。

まあ、それって、ほとんど「良い写真」の必要条件とも言えるので、普通に良い写真を撮ろうとすれば、自然に「つかみ」を意識せざるをえないわけですが。もし、どんな写真であれ、身の周りの吊り広告デザインに目を向けてみれば、必ずあなたの目を惹きそうなビジュアル的な「つかみ」が画面の中にあるはずです。画面の中の「主役」と言っても良いかもしれません。

B.レイアウトを考えて写真を撮る

四角いファインダーの中に被写体をレイアウトしていく行為は、四角い枠の中にデザイン要素をレイアウトしていく行為に非常に似ています。絵を作ると言う作業としては同義ではないでしょうか?

写真撮影って「これなら絵になる」と言う位置に、被写体(あるいはモチーフ)が存在してるまさにその瞬間、きちんとシャッターを押すことが求められます。その瞬間瞬間に凄い早いペースでレイアウトを決定していっているようなものです。だからこそ、デザインレイアウトの訓練としてとっても良いスパーリングとなるわけですね。

「絶対に良い」と思えた場面や風景でも、四角く切り取ってみたら案外つまらなかった……。かなりの割合でそんな事が起きます。

カメラの性能的にはスマホでも簡単にキレイに撮れる時代ですが、「いい写真」を撮るのは割と難しいものです。

日常的に写真を撮っている方には「あるあるだな」とわかっていただけるように思いますが、素敵な風景に出会ったり、素敵な場面に出くわして「シャッターチャンス!」と唸りながら、ファインダーを覗いてみると、「全然絵にならない!」なんてことありませんでしょうか(僕はよくあります)。

これは人間の視覚(180度近いでしょう)と四角く切り取ったファインダー内のレイアウトで、見え方が全く違うから起きることだと思います。絵であったり写真であったり、デザインには「四角い枠」という制限があり、そこだけに要素を配置して見せる事は実は結構難しい訳なんですね。

レイアウトが上手くなるということは、極端な言い方をすれば「枠を意識する」ということでもあります。ファインダーを覗いていくという事で、「写真を撮る」ということ)はこの「四角い枠」と格闘して制限される中で、どう魅力的にモチーフを枠内に配置していくか?という事なんですね。そして写真を撮り慣れていない方にはまず「ファインダーを覗いてみると絵にならなかった、残念!」という感覚をどんどん味わってもらい、レイアウト感覚を磨いていってもらいたいなと思うんです。

 映画のポスター写真を参考に見てみる

ジョゼと虎と魚たち(パターンA)

具体的にビジュアルを元にご説明しましょう。ここでは「ジョゼと虎と魚たち」と言う随分前の映画のポスターを例にお話ししてみます。単純に映画自体すごく好きなものであると同時に、写真家の「佐内正史さん」がカメラマンとして参加し、この写真初め素晴らしい写真を撮影しているからです。(せっかくですので良い写真から学びましょう)

監督:犬童一心/原作:田辺聖子/脚本:渡辺あや/音楽:くるり/イメージフォト:佐内正史/
©2003「ジョゼと虎と魚たち」フィルムパートナーズ

https://www.asmik-ace.co.jp/lineup/1086

ぼけぼけの写真ですみません(もっとよく見たい方はリンク先や検索する等、ネット上で探してみてください)

ピンボケでも伝わりますが、冬の海と楽しそうな二人の表情が素晴らしい写真です。この写真で「つかみ」と言えば、当然の如く「妻夫木さんと池脇さん二人の主演俳優の表情の素晴らしさ」でしょう!ただ、二人の温かい笑顔を際立たせる為、意識的か無意識にか知りませんが、背景の冬の海が映るスペースも(対比として)効いてる様に見えます。

勿論、この写真はポスターの為に、デザインされた後のモノでどこ迄、トリミングされてるか?分かりませんが、絵作りの練習、デザインの練習用に撮影する場合は、撮った写真そのまま、トリミングなしでデザインで使えるくらいにズバリレイアウトを決める感じで、撮影すると良いと思います。

撮影する時に、デッサンの記事で書いたように、余白スペース綺麗なスペースになっているかな?等も意識してみてください。瞬間的に決定する分、デッサンよりもレイアウト制作の瞬発力なども求められるかも知れません。

因みに、カメラはスマホのカメラで十分です。ちょこちょこ見返す事ができる分本格的なカメラで撮るより良いでしょう。その写真をどこぞで発表するとか元々ご興味あるのであれば構いませんが、ここではデザインの基礎となる「絵作り」の練習です。数を打った方が良いと思います。

ジョゼと虎と魚たち(パターンB)

もう一つ、ジョゼ…のポスター写真でAの方が、静かなイメージなら、こちらは如何でしょうか。同じく佐内正史さんの写真ですが、まず、一枚目が「静」なら、こちらは「動」ですね。文字通り主役(つかみ)=妻夫木さんと池脇さんでしかなく、「動き」を、出しつつ、誰がどう見ても二人に目がいくような構図でまとめてます。目を細めて確認できる、明度の濃いスペースと明るいスペースのバランスも素晴らしいです。

監督:犬童一心/原作:田辺聖子/脚本:渡辺あや/音楽:くるり/イメージフォト:佐内正史/
©2003「ジョゼと虎と魚たち」フィルムパートナーズ

https://movies.yahoo.co.jp/movie/241441/review/

映画見た方はお分かりでしょうが、このシーンかなりのスピード出てるはずですが、レイアウト的にも完璧に捉えてます。つまりは日常的に、スナップ写真等を撮る癖をつけているとレイアウトを決める訓練になります。静物画のように撮りたいモチーフは動かずにいませんので、どんどん決めてさっさと撮らないとなりませんからね。

すなわち絵作りの練習を気軽にできるのが、写真を撮る事な訳です。

「写真を撮ること」はデザイナーにとって「百利あって一害なし?」です。

またグラフィックデザインにおいて「写真」を上手く使えるかどうかは、普通に重要なスキルでもありますし、良い写真を選べるかだけでも、自身が作るデザインのクオリティにダイレクトに影響するのではないでしょうか。デザインのスキルをあげたいな〜と思っている方はデザイナーでもノンデザイナーでも誰でも、意識的に沢山の写真を撮っていくべきだと思いますし、それだけで、かなり「絵作り」について分かってくるはずです。

※ちなみに「ジョゼと虎と魚たち」のポスターレイアウト、主演の二人が写っている以外、全く違うシチュエーション、色味(寒色と暖色)、静と動、構図等、で同じ映画のポスター2案として成立してます(映画のポスターでこういうパターン結構あります)バリエーション出しの参考としてこれくらい真逆に振らないと2バリエーションにならないなどの学びもありますね。

PrimeVideoで見れるようです。
※かなり好き嫌い分かれる内容かも
https://amzn.to/3gUkuMh

 

あまり、プロのカメラマンさんが撮った写真を参考に…なんて言われても、レベル高すぎて「気軽に撮れ!と言ってるくせに矛盾している」と怒られそうなんで、僕が近くの神社に自転車で行った時に時々止まって撮った素人写真を載せます。

ただの少しきれいな田舎の風景写真です。ジョゼ…みたいに人物でもないしかなりのスピードの乳母車に乗って滑走もしていないので、誰でも気軽に撮れますよね。↓

でも、この程度の写真でも、例えばこの写真は「太陽、と川に映る太陽に目がいくようにしながらも、主役はやっぱり川とその奥行きで、自然に川の伸びる彼方へ、目がいくようならば良いな…等々、考えて場所移動しながらイメージ通りになる構図を探したりしてます。

そう、全く大した事なく、説得力はないですが(やってる事は)静物画を描く時、良さげな構図を決めようと描く場所を探っている感覚とほぼ同じで、写真撮りに行けば、強制的に「絵作り・構図を決める」事の練習になったりします。

 

また、例えば、この写真のように「菜の花」撮るだけでも、「菜の花目立たせる為、どういう明度構成にすれば、一番目がいくようになるかしら?」など、考え、背景に明度が暗い、川面が見えるアングルから撮影したり、色々な事を考えていくので、ゴリゴリではない「絵心磨き」には、写真って丁度良いと思う訳ですね。

全然、クオリティ低くてすみません。全て、スマホで撮影してます。「この程度なら俺のほうがうまいぞ!」という気持ちになってくれれば良いと思います。とにかく、写真撮る時に「絵を考える」だけで、ノングリッドなデザインに免疫が出来てくるかなと、思います。

例えば本格的に、カメラを買って、撮影に望み、簡単な商品撮影くらい出来てしまうデザイナーの方も、いらっしゃるので、興味ある方は少し「写真の沼」に、ハマっても良いかもしれません。

※ただ個人的には、本当に凝り出すと、デザインそっちのけになるかもなんで、そこそこが良いかと思います。

まとめ

「写真を撮って絵作りを学ぶ」のまとめ

・気軽に写真を撮る事は「絵作り」のセンスを上げる為に絵を描かずに出来る比較的簡単な上達方法である。
・写真を撮る時は「つかみ(主役)が誰か(何か)」を意識し、そこに目がいくよう絵を描く気持ちで撮ること。
・四角い画面に対して画面要素をどう配置し、余白含めて全てのネガティブスペース(余白)が綺麗にバランス取れてるか?考えながらレイアウトを進めると、絵作りの上達も早いはず。

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です