ひろがるスカイ!プリキュア×仮面ライダーギーツ×王様戦隊キングオージャー(13)
タイトル順は放送枠に準拠です。キャラ面ではひろプリ、戦闘面ではギーツ、世界観の面ではキングオをそれぞれメインに据えたい(願望)。据えたかった(夢破れし者)。5
ンコソパ国。
「ヤンマさん! このカカシ使わせてもらうよ!」
「あ!? 今かよ!!」
仮面ライダータイクーン・レイジングフォームがレイジングソードでカカシを斬りつけまくる。トレーニング用のホログラムだが接触判定がちゃんとあるというヤンマの言葉通り、確かにレイジングソードは斬撃を繰り返す度エネルギーを充填しているようだった。
〈FULL CHARGE〉
「よし!」
レイジングソードに取り付けられたバックルを、レバーを引いて取り外す。
そしてその青いバックル……コマンドツインバックルをデザイアドライバーに装填し、再びレバーを引く。
〈TWIN SET〉
〈TAKE OFF COMPLETE〉
〈JET AND CANNON〉
現れる仮面ライダータイクーン・コマンドフォームジェットモード。
背部の翼を閃かせ、トンボオージャーやキュアウィングに追いつけ追い越せの速度で飛翔した。
「景和行っちゃった……! ジェラミーさん飛べないの!?」
「大丈夫さ。ほら、よおく掴まっておくんだよ」
「え、え?」
スパイダークモノスが仮面ライダーハクビを抱き寄せ、ヴェノミックスシューターから蜘蛛の糸を射出する。
そして気軽な調子でペタ城から飛び降りたかと思うと、であった。
「わわわわわわわわわ!! スウィング機動って何それ! 速ぁぁぁっ!!?」
「すまないねえ。王様戦隊の中じゃ基本的に俺だけ飛べないんだ。こんな乱暴なやり方に頼るしかないが……追いついたっと」
「姉ちゃん何してんの!? というかジェラミーさんが何してるの! 糸の端はどこにあるんだよそれ!」
「おっと、こういうときに糸の端を気にするのは御法度なんだぜ? それは行間の奥に仕舞い込んでおかなくっちゃ」
「二人とも喋ってる場合じゃないですよ! 来ました!!」
キュアウィングが叫ぶと同時。
空を黒く染め上げながら眼前に迫り来るバッタ型シュゴッドの大群。
「まずはボクが先陣を切ります!! ひろがる! ウィングアタックッッッ!!」
夜闇を裂く陽の光のように、オレンジ色がどこまでも突き抜けた。
連続して起こる爆発の数々。そして、その爆炎を引き裂き仮面ライダータイクーンがレイジングソードでバッタ型シュゴッドを何体も何体も斬っていく。
「数が多い……! なら!」
〈REVOLVE ON〉
キャノンモードに変身したタイクーン。翼を失い落ちていくのにも構わず、両肩の砲塔からエネルギーの砲弾を撃ち放つ。
バッタ型シュゴッドが消し飛ぶのを見やり、再びデザイアドライバーを回転。もう一度ジェットモードに戻り、無人となったンコソパのビルの谷間を縫いながら黒い空へと舞い戻っていく。
「お嬢さん、いけるかい?」
「大丈夫! 弟ばっかにいいカッコさせてらんないもんね! ……あ、でもちゃんと拾ってくれると嬉しい……」
「お任せを。ほぉら、行っておいで!」
スウィング機動中のスパイダークモノスがハクビを投げ捨てる。
弾き出されたハクビがベルトについたクローバックルを操作し、
〈CLAW STRIKE〉
「やぁぁぁっ!!」
両腕の長大な爪がライムグリーンの光を纏って三日月型の光刃を空に走らせた。
振り抜いた腕を今度はばたばたと忙しなく動かすハクビ。そんな彼女をスパイダークモノスが受け止め、そして。
ぷつり。
蜘蛛の糸を切り、高く高く飛び上がる。
ヴェノミックスシューターに鍵を挿して一度捻る。
〈Dock In〉
「BANG」
〈VeBomb!〉
ヴェノミックスシューターを三度振って放たれる必殺技。
眼下の敵へ落ちた紫色の弾が、弾けて爆炎を撒き散らした。
「すごい……」
「とはいえこれじゃキリがないね」
「ならどいてろスカポンタヌキ共!!」
「ヤンマさん!?」
手を前に掲げ、トンボオージャーの仮面の下でヤンマ・ガストが不敵に笑う。
「トリモチボウズー、雷って怖えか?」
「え」
トンボオージャーが指を鳴らした瞬間、青い稲妻が降り注ぎ数百数千の敵達を散り散りに吹き飛ばした。
「わぁぁぁっ!? 何ですかコレ!?」
「ンコソパの王の証の力な。使い方間違えたら国が消し飛ぶ」
「すっごぉ……」
「ツバサ、景和、とりあえずお前らコレに乗れ」
トンボオージャーの行動は早い。空中でオージャカリバーを掲げるとどこからともなく青いトンボ型の巨大ロボが飛来してきて、キュアウィングと仮面ライダータイクーンを乗せて飛び始めた。
「ゴッドトンボだ。ジェラミー、オマエにもあんだろ使えよ」
ゴッドトンボから聞こえる声を受け、スパイダークモノスがフッと笑う。
「やれやれ、使っていいなら最初に言ってもらいたいなあ」
「行間読めスカポンタヌキ」
「え、ジェラミーさんもああいうの持ってるの?」
「ああ」
「じゃあ飛べるんじゃん!」
「俺は飛べないよ。何ならシュゴッドも飛べる仕様じゃあない。……ただ、空を飛ぶ相手に手を出せないってわけでもないんだなこれが」
クモノスレイヤーを掲げ、叫ぶ。
「降臨せよ、ゴッドタランチュラ!!」
現れる白い蜘蛛型のシュゴッド。スパイダークモノスと仮面ライダーハクビがそれに乗り込むと、ゴッドタランチュラが変形を開始する。
〈ナイト! ナイト!〉
〈タランチュラナイト!!〉
ゴッドタランチュラが、名前の通り、騎士のような姿の人型ロボット“タランチュラナイト”に変形した。
驚くハクビをよそに地面に着地したタランチュラナイトがセミ型シュゴッドのガーディアンシケイダーをシケイダーブレードに、ムカデ型シュゴッドのガーディアンピードをピードチェーンソーに変形させて構え、そして駆け出す。
「わ、速っ!?」
糸を伸ばしてビルにくっつけ、引き寄せる形で壁面に立ちそのまま三角飛び。
高層ビルもタワーも足場にして再び飛び上がったタランチュラナイトが、両の腕に構えた武器を振り回せば、構わず飛んでいたバッタ型シュゴッドがものの見事に迎撃されて弾け飛んでいく。
だが。
「ちっくしょ、何十分やってると思ってんだキリがなさすぎんぞ」
「キングオージャー……、最低でもエクストリームぐらいは持ち出さないと、どうにも馬力が足りないなあ」
「巨大ロボまで持ち出して、それでも削りきれない……なんて数なんだ」
「どうしよう景和。これ、本当に私達でどうにかなるの……!?」
「それでも、やるしかないだろ!!」
黒いバックルをタイクーンが持ち出した瞬間、トンボオージャーが吠えた。
「ッ待て、動くな景和!!」
「え」
次の瞬間。
「王骸武装」
巨大な赤黒い斬撃がンコソパの空を席巻した。
「────ギラの野郎、いつの間にあの案内人に助力取りつけやがった……?」
考える暇もなく、荘厳な鐘の音がゴッドトンボとタランチュラナイトをどこかへと連れ去っていく。
目の前の景色が塗り変わる直前、トンボオージャーとスパイダークモノスは確かに目撃した。
錆びついたような、あるいは、全身で血に濡れたような赤黒い姿。
「殺し殺され幾星霜。那由多の屍を積み上げて」
禍々しい甲冑を身に纏い、手に持つ剣は黄金のオージャカリバーZERO。
「骸に堕しても我が魂────」
爛々と輝く紅い瞳で上空の軍勢を射抜き、その者はこう名乗った。
「────始祖の王ライニオール。此処に在り」
と。
「英雄の戦を知るが良い」
続
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