特集

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TEXT:河南太郎

国内のロックシーンの最先端を駆け抜け、輝き続けるフロンティアたちの横顔に迫るインタビュー特集「ROCK ATTENTION」。通算30回目に登場するのは声優、シンガーソングライターの緒方恵美だ。「幽☆遊☆白書」の蔵馬役や「新世紀エヴァンゲリオン」の碇シンジ役などの声優としてその名を知られているが、歌手としても精力的に活動を続けており、2013年11月27日には約2年ぶりのリリースとなるニューアルバム『Desire-希望-』が発売された。
 
今回のインタビューでは、彼女の音楽のルーツからニューアルバムに込められた思いなど、音楽活動を中心に幅広く話を聞いた。
 

◆緒方恵美 プロフィール
桐朋女子高等学校卒、東海大学海洋学部・海洋資源学科中退。東京声専音楽学校ミュージカル科/研究科ミュージカルコース卒。専門学校在学中より商業演劇・ミュージカルに出演、卒業後「ネヴァーランド・ミュージカル・コミュニティ」に劇団員として参加。解散を機に声優に転向。
 
アニメ「幽★遊★白書」蔵馬役でデビュー&ブレイク。第3次声優ブームに乗って作品に恵まれ、着実に経験を重ねてゆき、社会現象となった「新世紀エヴァンゲリオン」の主人公・碇シンジ役で、アニメファンならずとも名前の知られる声優に。少年少女から大人の男女、シリアス・コミカルあらゆる役柄を自然体で演じる幅の広さを持つが、特に、蔵馬に起因した低音の美青年声は、女性声優の新たな活躍分野を切り開く先駆けとなった。
さらに、気さくな素顔のままの軽妙で飾らないトークで、ラジオパーソナリティとしても活躍。ブレイクのきっかけになった「緒方恵美の銀河にほえろ!」は、30分番組としては異例の週2000通以上のハガキを集め、伝説の番組と呼ばれている。また担当しているNHK「アニソン三昧」シリーズは、10万通を超える驚異的なリクエスト数を誇り、ツイッターの呟きも
同時間帯・世界1位を記録。ウェブラジオ界にも創成期から参加。支持を集め、現在に至る。
 
また、音楽一家に生まれ、幼い頃から積み重ねた音楽の才能もCDデビューをきっかけに開花。当初はアイドル的展開をしていたが、99年、ランティスに移籍後、本格的な音楽活動に移行。艶のある低音から高音まで3オクターブ強、パワフルでソウルフルなボーカルで、パーマネントなメンバーと共に織り成すバンドサウンドには定評がある。ロックなオリジナルツアーは勿論、数々の自身の超有名代表作・アニソンカバーを合わせ、エネルギッシュで親しみ易いステージを各地で展開。国内はもちろん近年は海外にも進出、精力的にライブ活動を行っている。

 

—最初に緒方さんの音楽のルーツについて伺います。中高生の時は音楽とどういう付き合い方をしていましたか?

 
緒方:父がオーケストラをやっていた影響で3歳からピアノを始め、ずっとクラシックに囲まれて育ってきました。でも親に反抗したくなる年頃…小学校の高学年くらいの時ですかね、その頃から洋楽のロックを聴くようになりました。小学校5年生くらいの時に少年ジャンプの裏側に出ていた5000円の白いフォークギターの広告を見つけて、12回払いで買ったり(笑)。その後、ピアノをキーボードに替えたり、ちょこっとだけベースをを触ったりして、耳コピーから始めて拙い作曲をするようになりました。
 

—どういうアーティストを聴いていましたか?

 
緒方:結構色々な曲を聴いていました。洋楽で一番初めに買ったのはThe Alan Parsons Projectだったと思います。その後Deep PurpleLed Zeppelinを聴き始め、周りの人たちの影響でSex PistolsNirvanaも。あとはBilly JoelSheila Eや…超雑食です(笑)。あまりお金もなかったので、友達と貸し合って。
 

—多感な10代の頃に、洋楽に大きく影響を受けたのですね。ライブにもよく行っていたのですか?

 
緒方:お金がなかったのであまり行けなかったですね。でもライブが行われる時だけ後楽園球場で売り子のバイトをしながら耳だけはステージに向けて聴いていたり。ステージの方を向いたら怒られるので(笑)。高校を卒業してからは、ミュージカルと芝居をやっていたので、時間お金もなかったです。だから海外アーティストの来日ライブに行くようになったのはだいぶ大人になってからですね。Eric Claptonは、行ける年は毎年行っています。
 

—そうした、10代の頃から洋楽が好きだということもあって、「おれびる」(緒方恵美主催の70’s~90’s洋楽ロックのカバーライブイベント)をやるようになったのでしょうか?

 
緒方:はい。元々すごく好きだったので。というか、日本の音楽をあんまり聴いていなかったんですよね。日本の歌謡曲も今聴いたらすごく良い音楽だと思うんですけど。一通り洋楽にハマった後で、THE BLUE HEARTSLOUDNESSくらいから、日本のアーティストの楽曲をちゃんと聴くようになりました。自分にとって一番影響を受けた音楽は、やはり10代の頃に聴いた洋楽ですね。
 

—洋楽はメロディを意識して聴くのか、歌詞を重要視するのか。どちらでしょうか?

 
緒方:(10代前半は)英語はあまり分からなかったので、最初はもちろんメロディです。ラジオから聴こえてきて心地のいいものを調べて、アルバムを買ったり、借りたりして。最初はメロディから入って、後で歌詞を調べたら、おっ!って衝撃を受ける(笑)。中学生の時は空耳アワーみたいにインチキ英語で歌っていました。英語を少しでも分かるようになったのは、やっぱり音楽のおかげだなと思います。あと洋楽の音乗りが好きだったから、自分が日本語の歌詞を載せて曲を作る時にも1音に1語じゃなくなっちゃうことも多いのだと思います。
 

—そして、舞台俳優としての活動を経て、声優としての活動を1992年から始め、その2年後に音楽活動をスタートされました。これはどんなきっかけがあったのでしょうか?

 
緒方:プロとして始めたのは、声優で売れたからです(笑)。アマチュアとしてはずっとやっていたんですけどね…元々音楽が好きだということもありますが、高校生の時は趣味で自宅だけで。ミュージカルをやっている時は、小さなバーで弾き語りのバイトをしていました。今よりカラオケはあまり普及していなくて、都内にはハーフサイズくらいのピアノがある小さなバーがたくさんあったんですよね。そこで好きな曲を弾いて歌ってて良いよって。そこで自分で作った曲を弾き語りしていました。
 

—その頃から音楽活動も仕事にしようとは?

 
緒方:音楽でプロになろうとは思わなかったんですよね。家がクラシック系だったので、歌を仕事にする=オペラ歌手みたいな感じの空気だったので。ひょんなことから声優の世界に入ってきて、デビュー作の「幽☆遊☆白書」がヒットし、次の作品の「美少女戦士セーラームーン」も人気が出たので、「歌のアルバムを出しませんか?」と言われて。
 

—なるほど。いわゆる”アイドル声優”が今でこそ当たり前のように歌手としてCDを出していますが、緒方さんはその走りとも言えますね。

 
緒方:そうですね。その後私が曲を作ることを知ったプロデューサーから書かないかと言われましたけど、遠慮させて頂いていました。自分が作った音楽が良いからアルバムを出しましょうという流れになったわけじゃないでしょ、という気持ちが自分の中で強くあったんですよね。「声優としてのCDリリース」ですから、その頃の声を当てていた役を残しながら歌ったり、エンタテインメントとして「アニメ作品のファンが好きそうな感じの音楽」を提供したりするのが良いことだと思っていました。私が求められているのはそこだろうと。餅は餅屋、プロの作曲家の方にお任せし、せいぜい自分では1枚に1曲くらいにして、歌に専念するべきだろうと。
 

—音楽活動と声優活動がほとんど入り混じっているような感じだったのでしょうか?

 
緒方:そうですね。アニメ作品の人気が出たら、キャラクターソングを録ることが多いのですが、その延長みたいな感覚。そうであった方が、いいのではないかと。
 

—「声優として求められている曲を歌う」というところから現在の「シンガーソングライター緒方恵美」としての活動スタイルに変わっていった転機は何だったのでしょうか?

 
緒方:1999年~2000年頃に今のレーベルであるランティスに移ったことがきっかけです。ランティスの社長はLAZYのキーボードを務めていた井上俊次Pocky)さん。音楽的に色々な経験を積まれてきた井上さんが、「もうあなたは自分で全部曲を作りなさい」と背中を押して下さったのです。
 

—その出会いがきっかけとなったのですね。

 
緒方:でもそれまでずっと声優ファンの方を意識した音楽活動になじんでいましたから、すぐには切り替えきれなくて、最初はまだかなりポップス寄りの曲を作っていました。ライブでも、まだ…いわゆる「サポートメンバーと本人さん」という感じで。でもその壁も壊すきっかけを井上さんはくれた。「あなたはもう、ミュージシャンとパーマネントな関係を築いているよ。あなたが声をかければ、彼らはいくらでも力を貸してくれる」と。そこから改めて、イチから始まったんです。井上さんが貸してくれたバンに乗って、メンバーと私だけで全国を回る、いわゆる「バンド」なライブツアーをするようになって。バンドとしての音作りやステージをくり返すうち、自分の中にずっと眠っていた、眠らせていたソウルが蘇ってきた。元々好きだったロックサウンドを意識したアルバムを作るようになりました。それも大きな転機です。
 

—共にやってきたサポートメンバーの影響がかなり大きかったのですね。

 
緒方:そうですね。遅れて来た「バンド小僧」みたいな感じです(笑)。だけど、遅れて来たからこそ出せるようになったものがある。不思議な経緯ですが音楽経験を積んできた今の自分の、心の底からわきあがってくる衝動…そのエネルギーで、お客さんを元気にしたい、仲間も楽しませたい。そんな仲間と一緒に、お客さんに勇気を渡したい。そう思って続けていたら、不思議なことに音楽仲間が周りにどんどん集まってきてくれて。みんな刺激的で、素敵な人ばかりで、そんな仲間と一緒にいろいろ好き勝手な企画ライブとかしたり、まあ呑んだり、しているワケですが(笑)…そのみんなの手を借りて、元気の出るモノ作っちゃおうと!その結果が、今回のアルバムです。
 

—アルバムのコンセプトについて教えてください。殆んどの曲で作詞をされていますが、歌詞はどのようにして作っていますか?

 
緒方:詞曲とも自分の曲はメロディと一緒に書いていきますが、提供曲の場合は、その曲のイメージに合わせたパッションをアテます(笑)。今回は、でも、曲の発注段階から「こんな曲を」とお願いしてました。若い頃から自分で曲を作っていましたが、昔は歌詞を書くのはとても苦手でした。自分の内側から言葉が出てこなかったのです。だから最初は自分の言葉で喋る仕事ではなく、誰かの書いた言葉に気持ちを乗せる仕事(役者)を選んだ。でも、仕事をしていくうちに自分の言葉…生き方や、伝えたいことが見つかった。だから今は、いくらでも作れる。これはアーティストではない職業の人たちも一緒だと思うんですけど、特に私は発信する仕事が多いので…その見つけた中で、今、一番伝えたいこと。それがアルバムタイトル『Desire-希望-』です。
 

—そのタイトルの由来を教えてください。

 
緒方:「Desireから生まれる希望」です。若い時は「夢は願い続けていたらいつか叶う」みたいなワードを使いますよね。若いキラキラしていた時は歌っていて良いし、むしろ歌ってほしいと思いますが、大人になると「夢は思い続けていても全てが叶うものではない」ということを学ぶじゃないですかー(笑)。
 

—なるほど。だからHopeやWishではないと。

 
緒方:特に自分が最初に願ったことは、「そのまんまはまず叶わない」。でも、「こうなりたい」と思って目の前のことを一生懸命やっていきさえすれば、ちょっと違った方向で叶うものだなと。HopeではなくてDesireなのは、夢ってそんな純粋な感じじゃなくて…「もっと儲けたい」とか「もっとモテたい」とか、そういう端的な欲望を満たしたくてスタートするじゃないですか(笑)。その先に色々詰まることもある けど、一生懸命やっていると思わぬ所から光が見えることがあるな~って。
 

—それは緒方さんご自身の経験を振り返って?

 
緒方:はい。例えば私は舞台のお芝居をしたいと思った所からスタートして、その後声優になった。なった後も順風満帆ではなく、苦しさを感じながら仕事をしていた時期もありました。でも、いつもいつも苦しいことばかりじゃなくて、その先に良いこともたくさんあった。若い頃に見えなかった「希望」が見えるようになった。そういうことを言葉にしたものが、今必要なんじゃないかって。頑張ることはカッコ悪いことじゃない。その先に見える「希望があるんだって、伝えたい。
 

—それが今作『Desire-希望-』なんですね。

 
緒方:音楽をプロで続けていけている人は、みんな同じような経験があると思うんですよ。だから逆に、いろんな音楽仲間に手伝ってもらって、みんなの『Desire-希望-』を…敢えて自分は1曲しか作らずに、後の新曲は全部お友達のミュージシャンに制限を設けずに作曲してもらい、それを私が1つにまとめる作業をしました。
 

—確かに多くの人が制作に携わっていますね。制作期間はどれくらいのものになったのでしょうか?

 
緒方:タイアップの曲を除くと、ミーティングから曲が出来上がるまでは半年くらいですかね。面白かったです。
 

—音作りに関して特にどんなことにこだわりましたか?

 
緒方:音自体は個々様々ですが…ベースとして、私は5年くらい前から「後ろ向きな歌を作らない」と決めたというのがあります。ロックだけど後ろ向きな曲は作らないと。ロックというのは百人百様の解釈があると思いますが、私にとってのロックは、「出さずにはいられない魂ガツンと入っている」なので(笑)。…少しスピリチュアル的な話になりますが、私、どうやら強いらしいのですよね、芝居も歌も。色々な人から、出てくる言葉の影響が強いと言われます。揺さぶられる感じの言葉を出す人ですよねって。それをよく言われるようになってから、例えば失恋の歌を作ろうとすると失恋するんですよ。その歌の歌詞を書き始めた途端に。他にも誰かが亡くなった後の世界をイメージして曲を作ったら、大事な人が…。
 

—それは嫌なジンクスですね。

 
緒方:はい。でもマイナスのことだけじゃなくて、超前向きな言葉をつむいだら大きな仕事が降りてきたり、大事なものをもらったという曲を作るとすごく大事なものを…というように、現実とリンクすることが増えてきたんですね。そういうことが続いたので、だったらプラスの曲しか作らなければ、良いことしか起きないんじゃないかと勝手に思い始って(笑)。それで、そうハラをくくったんです。で、今回は「希望」を、と。
 

—ロックミュージシャンの中にはストレートに「希望」を歌うことに気恥ずかしさを覚える人もいますが。

 
緒方:確かに私自身、希望っていうテーマはさすがにちょっと恥ずかしいなって以前は思っていました。けれど最近「ダンガンロンパ」というアニメで主役をやる機会があり、その役が「超高校級の幸運(きぼう)」という役だったんですよ。だから今なら「希望」ってつけても誰も揶揄しないだろうと!(笑)なので制作に関わってくれたミュージシャンたちにも、みんなが元気になる、希望になるものをと言って作ってもらいました。だから、このアルバムには私だけでなく、関わってくれたみんなの希望が入っていると思います。
 

—曲の作り方としては、「こういう風なイメージで」と話して作っていく感じですか?

 
緒方:そうですね。お話をしながら。たとえば2曲目「ZEBRA」を作曲したKenKenRIZE、Dragon Ash)とのように、飲みながらとかの人も(笑)。その後、彼が作ってきてくれたものを投げてもらって、録ってまた投げ返すといった形で。
 

—KenKenさんとは元々交友が深かったのでしょうか?

 
緒方:彼は元々「ダンガンロンパ」の原作ゲームが好きで、その上子どもの頃から私のファンだと公言してくていて…それから交友が生まれ、飲みに行く仲になり、私もKenKenのライブを観に行くようになりました。
 

—いわゆる「声優の方が出す楽曲」としては異色のサウンドで、新鮮に感じました。

 
緒方:アニソン業界にこんなファンクな曲ってあまりないんですよね。ランティスで年間300曲くらい制作しているディレクターも「この会社に入ってからこんなファンクな曲は初めてかも」と言ったくらいで。最初は色々な人にコーラスで入ってもらってお祭りみたいな曲に仕上げるつもりだったのですが、「この業界でこの曲を歌える人は少ない」と言われたので、最終的に一人で重ねて歌うことになってしまいました…(笑)
 

—9曲目「All Lovin’ You」ではゲストボーカルにAiRI、CooRie、佐咲紗花、佐藤ひろ美、Ceui、橋本みゆき、micco、結城アイラ、yozuca*…と豪華な顔ぶれがそろっています。

 
緒方:ランティスのプロデューサーが、「緒方さんは親交の深い歌姫も多いので、みんなで歌う曲作りませんか?」と言ってくれて実現しました。たくさんのミュージシャンやシンガーと一緒に…幸せなことですね。いわゆる普通のミュージシャンは、基本的に同じレーベルで曲を出し続けるじゃないですか。でも私は声優なので色々なレーベルで出す機会があり、自然と色々な人たちと仲良くなる機会が多いんですよね。出会っている人の範囲が広いので、ありがたいことにこうしたコラボレーションも実現するわけで。
 

—ミックステープみたいですね。

 
緒方:「一人コンピレーションアルバム」みたいな?(笑)みんなも挑戦的なことをしていて、私もチャレンジをしています。だから全体的に面白い仕上がりになっていると思います。中でも豪華歌姫が集結してくれた「All Lovin’ You」は私一人だと少し照れくさい壮大なテーマの曲。みんながいてくれたからこそできた歌です。
 

—なるほど。「All Lovin’ You」の歌詞にはどのような思いが込められているのですか?

 
緒方:「いのちの営みの大切さを、ずっと伝え続けていこう」。彼女達は男社会の中で戦っている戦士達であり、ひとりの女性です。一緒に闘った戦友のような仕事仲間が亡くなり、見送ることもあり、反面、新しい命を育む立場でもある。一緒に闘った人達と大事にしてきた思いを、新しい子ども達に伝えていこう、歌い続けて行こうっていう歌詞にしました。最初はサビのところにハーモニーがたくさんあったのですが、ディレクターが「この歌詞はハーモニーにしてぼやかしたくない」って言って、全員ユニゾンになったんです。
 

—メロディにも緒方さんのその思いが詰まっているようですね。

 
緒方:この曲を書いてくれた(作曲・編曲を担当)増田武史君は、実は私の前の前のサポートギターリストだったんです。その当時はバックバンドのミュージシャンでギターを弾いてもらう、というだけの関わりで、レーベル移籍の際に一度離れてしまったのですが、その間に彼はアニソン業界でたくさんの曲を作り、ヒットメーカーになって、巡り巡って今回一緒に制作できることになりました。シンプルで壮大な、美しい曲を書いてもらえました。
 

—最後の曲「アイノウタ」だけ緒方さんの作曲の曲ですが、これはどういう経緯で作られた曲なのでしょうか?

 
緒方:この曲はオマケみたいなもので(笑)去年私は声優として20周年だったのですが、その記念ライブの時に、何か一曲、と思って作った曲を、せっかくなのでと入れてみた感じです。
 

—この歌の歌詞の「強く強くなりたいと願ってきたけれど壊れそうな夜には」というところが、先ほどのお話とリンクしている気がします。

 
緒方:そうですね。まあ、遺言みたいな曲です。だんだん歳とってきたんで明日死ぬかもしれないってよく思うようになったんで…(笑)。
 

—アルバム収録曲にはこの他、ゲーム「スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園」エンディングテーマの「出航 -departure-」、アニメ「めだかボックス」最終回のオープニング曲「want to be winner!」なども収録されています。さらにはアルバムと別に12年ぶりのシングル「innocent prisoner」をリリースされました。

 
緒方:全然シングルをリリースしてなかったんですよね。不思議だなぁ、タイアップとかあったのに(笑)配信のみのリリースはありましたが、CDにしたのは久しぶりですね。
 

—アルバムのリリース自体は前作『Rebuild』(2012年1月発売)以来1年10ヶ月ぶり、通算11枚目となります。「アルバムを出し続けること」にはこだわりがあるのでしょうか。

 
緒方:今、業界は厳しくて…例えばアニソンシンガーのアルバムって、例えば10曲あったら9曲くらいタイアップみたいな感じが多いんです。そんな中でもランティスの井上社長は「あなたみたいな人はアルバムをずっと出し続けることに意味があるでしょ」と言ってくれたので、幸いコンスタントにアルバムが出せています。
 

—最後に、2013年を振り返って緒方さんの今年の漢字一文字をあげるとすると何になりますか?

 
緒方:2013年は幸せの年だったので「幸」という字ですかね。色々な人たちと会って、人脈が広がって、たくさん仲間ができました。ファンの方との交流も増えて、新しいファンの方も出来て…音楽的にも芝居のほうでも、色々な人たちと幸せに生きてこられました。本当に幸せな年でした。仕事で出会った全ての人に、家族に、友人に…みんなに感謝です!

インタビュー中、緒方恵美は少年のような顔をしながら楽しそうに音楽の話をしてくれた。私情で申し訳ないが、私は昔、声優になりたいと思っていた。もちろん緒方恵美の出演作も何本も観ていたので、いつか共演できたら…と淡い夢を描いていた。そんな彼女と対面してインタビューできたことが、本当に嬉しかった。
 
アルバムに収録されている曲を何回も何回も聴くことで1つ1つの曲に共鳴することができる。このアルバムを世界で一番欲していたのは、もしかしたら自分だったのかもしれない。そんなことを、きっと私だけではなく、このアルバムを手に取った人は必ず思うだろう。声優活動としての彼女を追う人はもちろん、本当にロックが好きな人には是非今回のアルバムを聴いてほしい。
 

◆リリース情報
11thアルバム『Desire -希望-』
2013/11/27 発売 ¥3,000(税込)
<収録曲>
M01.永遠駆動タイム・マシーン
M02.ZEBRA
M03.キッチン☆ロワイヤル
M04.Want to be winner!
M05.SHINY DAYS!
M06.夢だからKINGDOM
M07.NEXT STAGE
M08.「僕は」
M09.All Lovin’ You
M10.出航 – departure –
M11.アイノウタ



◆緒方恵美 公式サイト
http://www.emou.net/
 
◆緒方恵美 公式ブログ
http://emou.seesaa.net/
 
◆ライブインフォメーション
・2014年03月08日(土)【大阪】OSAKA MUSE
 時間:開場16:30/開演17:00
・2014年03月09日(日)【東京】下北沢Garden
 時間:開場16:00/開演16:30
 
◆マンスリーライブラジオ「緒方恵美の晴天ヘキレキ!」
毎月第2火曜日開催!
会場:【代官山】晴れたら空に豆まいて
次回>2014年01月14日(火)19:50~21:30
 ゲスト:marble
次々回>2014年02月11日(火)時間未定
 ゲスト:古川登志夫(声優)

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【レポート】緒方恵美 M’sBAR−silent&noisy night 2009−
http://www.beeast69.com/gig/139